学生時代から映画好きで、特にお気に入りの映画館「109シネマズ」に通い詰めていた。また、家族との思い出もあってボウリングが好きだったため、さまざまなエンターテインメントを手掛ける東急レクリエーションに入社。ライフ・デザイン事業部でコンビニエンスストアや飲食店のFC(フランチャイズ)事業に携わった後、事業創造本部へ。「新宿TOKYU MILANO」再開発計画の一翼を担い、劇場部門のマネジメントを担当。休日は幼い子どもとベビープールに通うなど家族との時間を満喫。
半世紀以上にわたってさまざまなエンターテインメントを生み出し、リードしてきた歌舞伎町の新宿TOKYU MILANO。2016年春、その跡地に新たなシンボルをつくり、一帯をグローバルな都市観光拠点に生まれ変わらせることを目標としたプロジェクトが始動しました。核となるのは、映画館や劇場、ライブホールなどのエンタメ施設とホテルなどから成る高層複合施設。低層部分には大きな屋外ビジョンや屋外ステージを設置し、隣接するシネシティ広場を中心にエリアと一体となった賑わい創出を目指しています。
若手の一人としてこのプロジェクトに参加することになった時は緊張とプレッシャーに押し潰されそうでしたが、知識も経験も不足するなか、素人目線ながら率直な意見をひねり出すよう心がけました。それを周囲の先輩方が拾い上げ、サポートしてくれたおかげで、プロジェクトの進展とともに着実に成長できたのだと思います。
何といっても、机上で議論していたものが図面化され、徐々に輪郭を帯びていく様を見られるのがこの仕事のおもしろいところです。しかも、「新宿TOKYU MILANO」の再開発は単にひとつの施設をつくるのではなく、東京圏国家戦略特区事業のひとつに認定されている「未来の歌舞伎町」の街づくりのための一大プロジェクト。共同事業者の東急㈱や㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントのほか、地域のさまざまな事業者や団体など多くの関係者と日々議論を重ね、複合施設とシネシティ広場を中心とした街づくりのあり方を検討していきました。
そのなかでも、私はここ2年ほど劇場部門を担当しています。当初は演劇や劇場についてまったくの初心者だったので、全国各地にある同程度のキャパシティの劇場を視察したり、上演されるコンテンツの主宰者たちにヒアリングしたりして知見を深めました。そうやって常に新しい世界に挑戦し、さまざまな関係者とともに計画を具現化していくのは、非常にエキサイティングな体験です。
とはいえ、歌舞伎町に新しくできる劇場にふさわしいコンテンツとはどんなものか、そのための設備のスペックや空間はどのようなものが適しているのかなど、さまざまなテーマについて関係者全員の意見を取りまとめ、プロジェクトを前に進めるのは容易なことではありません。私は担当として劇場関係の打ち合わせのファシリテーター(取りまとめ役)を務めていますが、当然のことながら、関係者それぞれの立場によって意向や考えが異なるので、打ち合わせの際には事前に各担当者の声を聞き、方向性を調整したり、着地点をある程度イメージしたりといった準備の上で実際の話し合いに臨む必要があります。
互いの認識がバラバラでは良いものはつくれませんので、うまく関係者同士で課題や方向性を共有したり、一体感をつくりだせるように尽力しています。それは非常に難しいことですが、同時に大きなやりがいを感じるところでもあります。
プロジェクトは今後、いよいよ施設稼働後の運営を見据えつつ、劇場で上演するコンテンツのラインアップを検討したり、映画館やライブホールとの連動企画を考えたり、といったソフト面での検討に入っていきます。コンテンツについては、先鋭的な演劇を中心に、音楽ライブや映画関連の作品など、オンライン配信が浸透し始めているからこそ、リアルでしか得られないような鑑賞体験を提供していけるといいなと思っています。また、既存のプログラムであっても、コンテンツの主宰者と相談してこの「新宿TOKYU MILANO」ならではのアレンジやアップグレードを加えるなどして、より魅力的なエンターテインメントを打ち出していきたいですね。
若手のうちからこうした大規模なプロジェクトに参加する機会が得られるのは、多種多様な事業に挑戦し、常に若い感性や次代を担う人材を求めている当社ならではの魅力だと思います。これからも「ここでなら新しいものに出会える」という空間づくりのために、いろんなことにチャレンジしていきたいです。
※所属は取材当時のものです。